PetHotel11!お庭番のブログ③: お水をなかなか飲んでくれないワンちゃん①

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!（ペットホテルワンワン）のお庭番です。

【飲水量は健康のバロメーターのひとつ】

●早く気づけば早く対処できる

わたしたちは、お泊りしているワンちゃんの食欲や排泄といった健康バロメーターを毎日チェックしています。

わたしたち人間はちょっと頭が痛かったりお腹が痛かったりすると

「イタイよぅ～～イタイよぅ～～～！！」

とアピールして周囲から優しくしてもらおうと甘えたりしますが、犬たち動物は体調不良や痛みを人間のようにアピールしないのが一般的です。

動物たちは弱みを見せることが生命のリスクに繋がるという本能が強く働くからですね。

そのため、犬たちが体調不良や痛みを表現した時には症状がかなり進行してしまっていることが多いんです。

わたしたちが、たとえ元気そうに跳び回っているワンちゃんであっても、毎日の食欲や排泄の状態に目を光らせているのには、ワンちゃん自身が訴える前に少しでも早く異常に気付いてあげたいという思いからです。

「おや？」と気づいた点があると、飼い主さんへの毎日のご報告メールで様子をお伝えすると共に、おうちではどんな様子だったかを伺いながら方針を決めていきます。

場合によっては獣医さんに診察していただくこともありますし、そのまま様子を見ましょうということになることもあります。

●オシッコの「おや？」

PetHotel11!にお泊りに来ているワンちゃんたちの中には、

『獣医さんから尿結石と言われて療法食を食べています』

というワンちゃんが時々います。

※尿結石には大きく分けて2種類（ストラバイト結石　と　シュウ酸カルシウム結石）あります。

そういうワンちゃんのオシッコを観察していると、ほとんどの場合、

・オシッコの量が少ない

・オシッコの回数が少ない

・オシッコの色が濃い

という特徴があります。

で、「おや？」と思って観察していると、なるほどそういうワンちゃんは、当然お水を飲む回数や量が極端に少ないワケです。

飲んでりゃ出るはずですからね(^-^;

中には、獣医さんから結石という診断を出されていないワンちゃんでも飲水量が極端に少ない子がいます。

そんな時は”気になる点”として飼い主さんにご報告するようにしています。

※ここで言っているオシッコの回数というのは、あくまで尿意を催してある程度まとめてジョ～～～ってする回数で、おさんぽ中にマーキングで何度も少量ずつチャッチャとするオシッコは回数に含めません。

●1日にどれくらいお水を飲めばいいの？

ワンちゃんの1日の飲水量は、いったいどれくらいが適量かをご存じですか？

獣医さんたちが指針としている数字だと、次のようになります。

体重（kg）×0.75×132（ml）

0.75×132は99なので、ザックリ次のように覚えておけばいいでしょう。

およそ体重1kgあたり100ml／1日

たとえば、体重が5kgのワンちゃんなら1日に500mlくらいお水を摂取していればいいってことになります。

これはあくまでもめやすなので、この数字よりも極端に多すぎたり少なすぎたりしなければOKです。

また、運動量や季節によっても飲水量は変動します。

1日中寝ている子は運動量が多いワンちゃんよりも飲水量は少なくなりますし、暑い時は寒い時に比べてパンティング（舌を出してハアハアして水分を蒸発させる行動）が多くなるので、その分飲水量は多くなります。

更に、食べているフードによっても適切な飲水量は変わります。

上記のめやすはドライフードを食べている子の飲水量ですが、ウェットフードを食べている子や、おやつに毎日フルーツを食べている子は、食べ物に含まれる水分を上記から差し引いた量のお水を飲んで入ればOKってことになりますね。

ちなみに、

ドライフードに含まれる水分量はおよそ7％程度
ウェットフードに含まれる水分量は70％程度

と言われています。

●飲水量の少なさが見落とされる原因

飲水量が極端に多すぎるワンちゃんの場合、

「なんでこんなにガブガブお水を飲むのかしら？」とか・・・

「あら！またお水が空っぽだわ！！さっき替えたばかりなのに！」とか・・・

「んもうっ！何度拭いても床がビチャビチャでイヤんなっちゃう！」とか・・・

「またオシッコを失敗したの？！しかも大量に～！！」とか・・・

「トイレットシートの減りが早すぎるわ～～！」とか・・・

わりと困った事態になるので比較的飼い主さんが気づきやすいのです。

けれども、飲水量が少ない場合、実害があまりないので気づくのが遅れることが多いんですね(;^ω^)

●飲水量が少ないと・・・

尿結石と飲水量は、トリタマ（鶏と卵）のような関係にあるように思っています。

つまり、飲水量が少ないから尿結石になる場合と、尿結石になった結果飲水量が少なくなる場合があるってことです。

ワンちゃんの水分摂取量が極端に少ないと、当然の結果としてオシッコが作られる量が減って膀胱がなかなか満タンになりません。

だからワンちゃんは尿意を感じることがなく、オシッコの回数が少なくなります。

そうすると、オシッコが長い時間膀胱に留まることになるので、どんどん濃縮されて濃いい色になります。

オシッコが濃くなると、尿中に溶けているミネラル分が飽和状態になって溶け切らずに結石の元になっちゃいます。

結石があると排尿時に痛みを感じたりするので、オシッコするのが苦痛になって自ら摂水量を控えるようになる・・・

・・・って悪循環ですね。

中には、オシッコが間に合わなくておもらししてしまった時に叱られたり、「あ～～あ・・・！！」と飼い主さんにガッカリされてしまったことがショックで、お水をあまり飲まなくなってしまう子もいるんですよ～～～(´；ω；`)

もちろん、飲水量が少なくなる原因は結石だけではありませんから、ご自身のワンちゃんがお水をあまり飲まなかったりオシッコがヤケに濃かったりしたら、素人判断することなく、まずは獣医さんで診てもらってくださいね～！

●わたしたちにできること

さて、獣医さんに『結石ですね』と言われてしまったワンちゃんの飼い主さんがしてあげられることとして、指定されたフードに変えるなど獣医さんのご指示に従うことはもちろん大事です。

でも、1日の目標飲水量をしっかりワンちゃんに飲んでもらうようにするっていうことは、それ以上に大切なことです。

なぜなら、結石用の療法食というのは、結石の原料となるミネラル分をあまり多く含まないフードなのですが、ミネラルは決して悪者ではなくて、ワンちゃんの健康な身体を維持するのに必要な栄養素だからです。

たまに、過去に尿結石になったので、二度と尿結石にさせたくないという不安から今は既に尿結石ではないにもかかわらず、ずーーーっと尿結石用の療法食をあげている飼い主さんがいらっしゃいますが、それでは本末転倒ですね・・・(;^ω^)

本来は、必要なミネラルをしっかり摂取しながら、それが結石化しないように十分な量のオシッコを排泄させてあげる心がけが大事ってことです。

そのためには、やっぱり上記のめやすを目標にお水をしっかり飲ませてあげるというのが、飼い主さんが一番しなくてはならないことなんですね。

もちろん、今現在は結石ではないワンちゃんであっても、将来結石にさせたり健康を害させたりしないために、飲水量には気を配ってあげてくださいね。

そもそも尿は毒素を体外に出してくれるものですから、十分に排泄できないというのはとても危険なことです。

とはいえ・・・お水を飲もうとしないワンちゃんにお水を飲んでもらうのはけっこう大変！

というワケで、次回はPetHotel11!にお泊りしているお水をあまり飲まないワンちゃんたちに、わたしたちがどんな方法でお水をたくさん飲んでもらっているかについてお話したいと思います。

＜今日のPetHotel11!＞